春に設立された一般社団法人日本カート協会(JKA)が行う最初のイベント、「有望選手発掘夏合宿」が8月18〜20日に静岡県・オートパラダイス御殿場で開催された。
このイベントは、カデット年代を対象に将来有望な選手を発掘し、来年のジュニア選手権参戦に向けてサポートしていこうというもので、協会が掲げる2本柱、「育成」「普及」の育成に関する最初の取り組みとなる。
発表当初は30名の募集だったが、すぐに定員を超える応募があったため、募集枠をフルグリッドとなる34名まで拡大。それでも最終的には50名を超える応募があり、書類選考でやむなく断った選手も多かったという。当日は日本全国からキャリアもバラバラの34名が集結し、競い合った。
今回は、有望選手を見つけ、サポートする選手を決することが主眼となる、いってみればセレクションのため、決してスクールではないとされ、メニューも走行2日間で模擬レースが6ヒート組まれるなど、走行機会が多く設けられた。また、コースも2種類のコースを使い分けることができるAPGの特性を活かし、レースではハイスピードコースとテクニカルコース、フリー走行ではハイスピードコースの逆走も行うなど、走行したことのないコースレイアウトへの対応力なども見られた。APGも、最近はレーシングカートのレースではハイスピードコースが定番となっているため、今回テクニカルコースへの経験の有無を問われても、走行経験があると挙手した選手はなく、全くキャラクターが異なるコースへの対応力を見るという目的は達したようだ。
その他にも、制限時間を区切ったストレステスト、簡単な面接、レポートの作成、また2日目、3日目の走行の合間には車座になり審査員も加わったディスカッション、ランニング(タイム計測あり)など、様々な取り組みが見られた。
今回、審査にあたったのは、山本尚貴代表理事を筆頭にスーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍しているトップドライバーとして坪井翔、山内英輝、平峰一貴(3日目のみ)が務め、走行セッションごとにポイントを変えながら選手の走行をチェック、時にはアドバイスをおくる姿も見られた。また、公平性を高めるために、エンジンはヤマハがデリバリー(キャブレター含む)、タイヤも一括搬入されたものが配布された。エンジンに関しては、2日目の走行終了後と3日目のお昼に全車対象でシャッフルを行い、公平性の担保に力が入れられていた。
今回の選考結果は、遅くとも9月末までには参加者へ通達される予定とされている。選考にあたっては、模擬レースの結果だけではなく、伸び代やカートに乗っていない時間での立ち居振る舞い、言動なども含め総合的に評価をつけ対象選手を選んでいくという。選考側にとっても、難しい選考となることだろう。
早くも次回開催に向けた様々な構想も練られ、また今回の参加者を対象にアンケートも実施し、さらにいい内容へとブラッシュアップをしていくとのこと。合わせて、もう一つの柱である「普及」に関しても、今後取り組みを強化していくようで、今後の活動も注視していきたい。