主要モータースポーツの最上位選手権が次々と開幕していく中、開幕戦が待たれていたカートでも、全日本選手権(Japanese Karting Championship)がいよいよ4月13日に開幕を迎えることとなる。
今季の全日本カート選手権は最高峰OK部門、FS-125/FP-3、そして EV部門の3シリーズがあるが、真っ先に開幕するのはFS-125/FP-3部門となる。また同時に、このシリーズに併催されるジュニアカート選手権(Japanese Junior Karting Championship)・ラウンドシリーズ2の開幕戦ともなる。
昨年は3大会6レースと開催数が少なく、さらに有効ポイントが成立数の50%とされていたため、夏前にはFS-125のチャンピオンが決するなど短いシーズンであったFS-125/FP-3部門だが、今年は2年ぶりに神戸大会が復活。さらに新規コースとしてスピードパーク新潟がカレンダーに加わり、5大会10レースでの開催となった。有効ポイントも75%に変更され、今季は秋までタイトル争いが続いていくことが確実となっている。
では、各クラスの様相を見ていこう。まずはFS-125だが、特筆すべきは酒井龍太郎がゼッケン1をつけて登場することだ。近年は、タイトルを獲得すると上級クラスへと昇格することが多く、ゼッケン1を付けてシリーズを戦う選手は少なかった。今季を本格的なカートレース参戦最終年と位置付けている酒井は、当初OKクラスに専念ということも考えていたようだが、「ゼッケン1を付けて出場する機会はない」と考えFS-125にもエントリーしたという。しかも、いわゆる記念の一戦だけということだはなく、シリーズ全戦への出場を予定している。近年、タイトル獲得即ステップアップという風潮の中で、全日本で同一クラスのシリーズ連覇を達成したのは17-18シーズンのOKクラスを連覇した佐藤蓮が最後となっている(佐藤蓮は16年FS-125王者でクラスをまたいで全日本3年連続チャンピオン) 。酒井がシリーズ連覇を達成することができるか。さらに、酒井の場合、21年にジュニア選手権FP-Jrカデット、22年同FP-Jr、23年全日本FP-3、24年同FS-125とJAF選手権で4年連続でタイトルを獲得している。この記録を5年に延ばすことへも挑戦することとなる。
では、酒井に対抗する選手はいるのか。まずは、今季FS-125への参戦も始めるヤマハFormula Blue勢だ。ワークス体制で参戦するのは3人。その一人である元田心絆は23年FP-Jrカデット、24年にはFP-Jrとジュニア選手権を制し、さらに24年はFIA-CIKアカデミートロフィーに参戦するなど、酒井と同じようなキャリアを積んできている。今季はFP-3をスキップしてFS-125へ挑戦となる。またチームメイトの高木彪乃介は、昨年激戦となった鈴鹿SSでチャンピオンを獲得した成長株。ともに酒井への対抗馬となり得るだろう。すでにRMCの国際レースでも優勝を重ねている関口瞬も、開幕戦では凱旋帰国参戦となる。
開幕戦はOK参戦を予定しているドライバーも多く参加しているため、今回のメンバーがそのままシリーズ参戦するわけではないが、昨年のようなワンサイドゲームにはならないと思われる。
一方、FP-3クラスはどうか。例年であれば、ジュニアチャンピオンがステップアップして中心となるシリーズだが、先述のように元田はFS-125へと参戦するため、絶対的な中心が不在となっての開幕となる。開幕のみのスポット参戦となる選手も多く見受けられるため、今年はFP-3らしい地元選手の活躍がシリーズの流れを動かしていく一年になりそうだ。
ジュニア選手権は、残念ながらFP-Jrカデットが不成立となり、FP-Jrのみの開催。中心となりそうなのは、昨年のラウンドシリーズ1でカデットチャンピオンとなった新橋武だろう。さらに実績のある島津舞央、新東京を地元とする織田大和らが絡む開幕戦となりそうだ。
半年に及ぶ戦いの幕開けとなる週末。新東京は観客席も完備されているので、まずは現地観戦に来てみるのはどうだろうか。
【全日本選手権FS-125/FP-3・ジュニア選手権ラウンドシリーズ2開催日程】
第1戦・第2戦:4月12〜13日/新東京サーキット(千葉県)
第3戦・第4戦:5月17〜18日/神戸スポーツサーキット(兵庫県)
第5戦・第6戦:6月28〜29日/スポーツランドSUGO国際西コース(宮城県)
第7戦・第8戦:7月26〜27日/スピードパーク新潟(新潟県)
第9戦・第10戦:9月20〜21日/中山カートウェイ(岡山県)