【解説】
JAF、24年度全日本統一規則等を一部発表。
その変更点とは!?

来季の全日本、
ルール変更による狙いは!?
11月28日、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)より、2024年の全日本選手権・ジュニア選手権統一規則等の一部が発表された。ここでは、その変更点と狙いについて考えていこう。
運営規則でもある「全日本カート選手権統一規則」「ジュニアカート選手権統一規則」の変更点をみると、2024年の全日本選手権およびジュニア選手権に対応させるための規則変更が多い。すなわち、GPR方式での運営への対応だ。では、主な変更点を見ていこう。
●レースディレクター、
テクニカルディレクターについて
レース中に発生したインシデントなどのジャッジを行うレースディレクター、技術規則へのアドバイス等を行うテクニカルディレクター。競技運営上、重要な役割となるこの2つの職務だが、23年までの規則は「JAFより派遣」とされていた。
それが、24年規則からは「JAFより派遣、またはオーガナイザーからの申請に基づき認定」に変更される。つまり、オーガナイザー側がそれぞれ任意の人材を起用できることとなったのだ。これにより、GPRと同じように、一年間同じ人物が両職を務めることも可能とされた。
また、これまでテクニカルディレクターはその役務内容等定められたものがなかったが、今回の規則では「シリーズを通じた独自の判断に基づく提言」「大会における適用車両規則や車両検査基準の平準化を図る」と定義づけられている。
●年間エントリー
JAF管轄のシリーズ戦に関しては、大会ごとのエントリーが基本とされ、年間エントリーは不可とされてきた。しかし、OKが活発だった頃からワークス系チームの年間エントリーに対する要望は高く、実現しないことへの疑問感は強かったものだ。
今回の規則変更でオーガナイザー間の合意を条件に年間エントリーも可能とされた。実際、GPRでは年間エントリーを導入しているので、その方式がそのまま踏襲されるのだろう。
同じくFS−125部門/FP-3部門シリーズでも年間エントリー導入が進むものと考えられる。
●エントリー資格
全日本のOK部門では、国際Eもしくは国内Aライセンスが必須とされていた。これにより、必然的にエントリー年齢は15歳以上となる。
今回の規則改正では、このふたつのグレードに加えて、国際Fでの参戦が可能に。国際Fライセンスは14歳から取得できるので、出場可能年齢が1歳引き下げられたわけだ。これは大きな変更といえるだろう。もともとGPRでは国際Fによる出場も可能としていたため、それに合わせた形だ。
●競技方式
全日本選手権OK&FS-125CIK部門における23年度の競技方式は1大会2レース制で下記のようなフォーマットとなっていた。
QP→予選ヒート→スーパーヒート→決勝
QPは朝の1回のみ。その結果を第1レース、第2レースそれぞれの予選ヒートグリッドに反映していたが、予選→スーパーヒート→決勝の流れは共通。またFP-3部門では2レース制で予選→決勝という流れを採用していた。
24年度はオーガナイザー間での合意により各部門で統一された方法をオーガナイザーが決定するとされた。これもGPR対策と考えていい。というのも、GPRでは予選ヒートは行わず、QP→決勝のフォーマットだからだ。
GPRで行われるOK部門は、来季もQP→決勝のフォーマットを採用すると考えられ、FS-125&FP-3部門は今後のオーガナイザー間の合意がどうなるかに拠るといったところだ。
●水分補給について
夏に開催されるレースでは、公式通知で「パルクフェルメでの給水の可否」が示されてきた。これが24年は統一規則に記載されることで、通年にわたり水分補給を可能とする。
なお、容量600ml以内の飲料とされ、身体に浴びること、飲料摂取後の再重量検査(一度、重量検査して重量不足だったため飲料を摂取してから再度、量る行為)は禁止だ。
●ペナルティ項目
FS-125やFP-3、ジュニア選手権が1大会2レース制とされたとき、問題となったのが後車検で発見された違反をさかのぼって適用するか、だ。午前中のレース結果を、規定時間経過後に正式結果として発表してしまうと、そこに遡っての適用はできなくなる。
今回の規則改正では「エンジン封印部分の再車検結果に基づくペナルティは第1レースにも適用され、第1レースの正式結果は第2レースの正式結果と同時に発表される」と明記された。この改訂によって正式結果の発表は遅れるが、より公正な競技運営となるだろう。
●成績および賞典
ここで決められた「3.競技会表彰の儀典」はセレモニーをどう行うかといった規定で、カートだけではなく、おそらく全競技部門共通で設けられた規定。カートレース参加者にとってはそれほど重要でない部分だが、規則を読むと、より格式を持った表彰式としたいのだろうとは考えられる。
それよりも「4.モータースポーツ表彰式への出席」という項目を追加し、表彰式への出席を促していることに注目だ。
●得点基準
この項目は、レース方式の変更に伴う文言修正程度の改定にとどまっているが、OK部門は予選ヒートを実施しないと想定されるため、「予選ヒートの結果に付す得点」は採用されない公算が高い。
●車両規則
車両規則に関してはFS-125Juniorが正式に追加された。
●競技会開催日程
規則の公示と同日に地方選手権およびジュニア選手権コースシリーズの日程も発表された。なお、この2シリーズに加えて、全日本選手権に関しても追加登録の募集を実施しているため、正式な日程の確定は後日となる。
【地方選手権】
●鈴鹿シリーズ/鈴鹿サーキット南コース/開催クラス:FS-125
第1戦:3月2〜3日
第2戦:5月25〜26日
第3戦:8月10〜11日
第4戦:9月21〜22日
第5戦:11月30〜12月1日
●新潟シリーズ/スピードパーク新潟/開催クラス:FP-3
第1戦:5月19日
第2戦:7月21日
第3戦:9月1日
第4戦:10月6日
【ジュニア選手権コースシリーズ】
●鈴鹿シリーズ/鈴鹿サーキット南コース/開催クラス:ジュニア(Jr-MAX)
第1戦:3月2〜3日
第2戦:4月27〜28日
第3戦:5月25〜26日
第4戦:6月22〜23日
第5戦:8月10〜11日
以上が11月末に発表された規則変更の内容。ただ、再び改定される可能性もあるので正式な規則に関しては今後の発表が待たれる。全体としては本誌473号で掲載したGPR代表松浦佑亮氏へのインタビューにもある通り、OK部門とOKに併催されるジュニア選手権ラウンドシリーズ、すなわちGPRシリーズは、23年シーズンを踏襲したレースフォーマット、競技運営がなされることが規則変更からも裏付けられたと言えるだろう。