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AUTOBACS GPR KARTINGSERIES
シーズンエンド記者会見を再現掲載!

11月12日にシーズン最終戦を終えたAUTOBACS GPR KARTINGでは、シリーズ表彰を終えた後、ホスピタリティテントに於いて、シーズン最後を締めくくる共同記者会見が行われた。
国内のカートレースでこうした記者会見が行われるのは初めてのこととなる。
本誌では紙幅に限りもあるため、すべての公開は難しいため、ここにドライバー部門、チーム部門それぞれの会見の模様を、可能な限り再現して公開する。

GPRシーズンエンドチャンピオン記者会見
ドライバー部門

出席者
森谷永翔(CADET)
酒井龍太郎(JUNIOR)
鈴木斗輝哉(OK)
安堂祐(SHIFTER)

■まずはカデットクラス森谷選手から一言お願いいたします。
森谷:いっぱいバトルとかあって楽しかったシーズンでした。
■この大激戦、いかがでしたか。
森谷:楽しかったです。
■プレッシャーはありませんでしたか。
森谷:ありました。
■シリーズチャンピオンを決めたときの気持ちは?
森谷:めちゃくちゃ嬉しかったです。
■今後の目標などありますか。
森谷:X30Jrに上がってもチャンピオンを獲ります。

■では、続きまして酒井龍太郎選手です。
酒井:今年、8戦中6勝でチャンピオンを獲れました。
■2戦、欠場がありました。ご自身のお気持ちは?
酒井:もてぎは地元だけどそこが出られなくて…。骨折のため出られなかったのですが、逆にその後に全部勝ってチャンピオンを獲ろうという気持ちでした。
■今回はレース歴100勝目も掛かり、ひときわ気合も入っていたのではないでしょうか。
酒井:第9戦、10戦で絶対2連勝するという中だったので本当にすごくプレッシャーがあってドキドキだったけど、チームの方々のおかげでぶっちぎれました。
■今季も様々なビッグレースに参戦したなか、GPRとはどんな存在でしたか。
酒井:新しいシリーズだったので、自分が初代チャンピオン目指そうと一年間取り組んでいました。
■チャンピオンを獲れた今の気持ちは。
酒井:1回出られなくてどうなるかと思ったけど、無事に復帰してそこから4連勝、GPRでは6勝を重ねて嬉しかったですね。

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■続いて鈴木斗輝哉選手です。
鈴木:5連勝でチャンピオンを獲れたことが本当に嬉しいです。
■今季は序盤に苦しんだりもしていました。中盤以降、快進撃のきっかけは何かあったのでしょうか。
鈴木:マシンの改良が一番のポイントだと思っていて、新しいパーツを導入したり乗り方を変えたりもそうですが、クルマの進化が一年を通してすごかったかな、と思います。
■今季、OKでは別シリーズもあったし、海外レースにも参戦しました。そういった中でGPRはどんな位置づけでしたか。
鈴木:今年始まった注目のシリーズだと思っていたので、初年度でチャンピオンを獲ることが目標でした。それが達成できて嬉しいです。
■スカラシップも獲得しましたがこれからの目標は。
鈴木:まだ来年は決まっていないですが、自分のやることをしっかりやっていこうと思います。

■シフタークラス安堂祐選手お願いします。
安堂:今回のGPRシリーズ参戦にあたって、多くの方にサポートや支援をしてもらったおかげでシリーズを通して気持ちよくレースができたので、そこが一番感謝しています。ありがとうございます。
■次々と4輪ドライバーや実力者がやってきました。その中でシーズンを戦う気持ちはいかがでしたか。
安堂:すごい速い人が出てくるので自分のモチベーションも上がりました。こうしていたらというところはあるのですが、凄く意欲的にレースができたので嬉しかったです。
■シフタークラスとしては新しい挑戦がコース面でも起きていたと思うのですが、この転戦シリーズはいかがでしたか。
安堂:鈴鹿と瑞浪は走ったことがあったけど、もてぎとAPGは未経験だったので、もてぎとAPGだけが表彰台も載れず難しかったです。でも、逆に面白くてよかったとも思います。
■来年以降へ向けて。
安堂:今年はイタリアへも行かさせてもらって、来年も行けるようにシリーズも戦いながら頑張りたいと思います。

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−それでは、メディア各社の方からお願いします。

■森谷選手、今年はGPRも鈴鹿選手権も多くの勝ち星を重ねて、調子が良かったようですが、今年になって良くなった要因、理由で自分で思い当たることはありますか。
森谷:自分も冷静になったりして、ちょっと上手くなったし、チームもセッティングを合わせてくれて勝てるようになりました。
■今回、カデットが最後ということで来年からジュニアクラス、一般シャシーになります。その対応はどうですか。
森谷:ちょっとだけジュニアマックスとかで乗っているので(笑)
■続いて酒井選手、今年怪我をしてひと月くらい走れずにいましたが、怪我の影響は夏場の頃からそんなにはなかったのですか。
酒井:夏場は少しあって、復帰戦がここのマックスでしたが全く力が入らない状態でした。その2週間後だったかのGPR瑞浪ではだいぶ回復した感じです。
■GPRがスケジュール的に夏場に連続して、全日本も夏の大会があり、夏に怪我するとシリーズ的に厳しいところがあったかと思いますが精神的に焦ったりとかはなかったですか。
酒井:焦りどころか、骨折となると完治が3ヶ月ほど掛かるので、いつになったら復帰できるのか、今年のシリーズがほとんどなくなってしまうのか、という不安がありました。
■これで全日本とGPR、両方でチャンピオンを獲りました。年齢的な条件もあり、上のクラスに上がるのが難しいとは思いますが来年以降の活動は?
酒井:来年はまだ決まっていません。悩んでいることとか、来年どうする?という話があって、まだわからないです。
■出るレースでタイトルを獲れるように、と。
酒井:はい。全部勝ってチャンピオン獲りたいと思います。
■では、鈴木選手。去年はシーズン途中でのチーム離脱などもあって今年は仕切り直し、結果を残さないといけないシーズンだったのに、前半で苦戦しました。それを乗り越えられた気持ちの部分などは、いかがでしたか。
鈴木:正直、今の環境に戻ってこれない状況までいって、不安と戦っていました。チャンピオンが獲れないと自分のレース人生が終わってしまうのではないかという局面だったので、チャンピオンを獲るしか上に上る道はないのかな、と思っていました。
■GPRもOKチャンプもチャンピオンとなりスカラシップも獲得、いよいよフォーミュラという活動になるかと思います。将来的に4輪へ進む目標などは。
鈴木:カートは今年いっぱいでお終いだと思っていますので、来年からは4輪に切り替えて、まだ全然どこに行くとかは決まっていないですがFIA-F4に参戦できるように準備しているところです。
■安堂選手、今年はイタリアのロックカップファイナルへも派遣されました。イタリアではどんなことを感じましたか。
安堂:日本とはカートの規模もレベルも違い、路面もゴムがのっていてタイヤも違う状況で、すごく刺激的な日々を過ごしたいい経験になりました。
■今季、チャンピオンを獲ったと言っても悔しいシーズンだったかとは思いますが、シフターのカテゴリーをやってきて、来年に向けて、イタリアの経験も踏まえ意気込みを聞かせてください。
安堂:今年は自力で優勝ができなかったのが一番悔しいところですが、結果的にチャンピオンが獲れたので良かったです。今年、イタリアですごく刺激を受けたので、来年もイタリアへリベンジに行きたいので、日本でも出たクラスで結果を残してイタリアへリベンジしたいと思います。
■追加で、鈴木選手に。今年世界選手権に出場して色々経験したと思いますが、来年もう一度カートでという気持ちはない、と。
鈴木:今年でやりきりました。自分の目指している結果が全部出たので悔いはないし、十分かなと思います。
■最後に皆さんに聞きたいのですが、GPRという新しいシリーズに参戦してどう感じましたか。
安堂:きれいなテントであったりとか、ライブモニターだったり今までにない環境でレースができたことがドライバーとしてやりやすかったし、公式テストもあっていい経験になりました。来年もこの形で続けてほしいです。
鈴木:他のシリーズに比べてメディアの方がたくさんいますし、4輪に転向するうえで経験できないこと、自分のレース以外の部分でたくさん学ばせていただけたと思います。あとレースフォーマットが1dayなのは、去年までの全日本は2dayで忙しかったのですが、今年は短縮されて1日に2回レースができるのはなかなか無いし、自分にも他のドライバーにも良かったのかな、と思います。
酒井:普段から緊張している僕を、さらに緊張させるシリーズでした(笑)。その理由が、先程のメディア、さっきの第10戦でも車検場に来ると道を塞がれるようにカメラマンがいっぱいいたり、あとゲートクローズして10分間コースで待機させられるとか、凄く緊張するシリーズで、いろいろ新鮮で楽しかったです。
森谷:雰囲気とかトロフィーとかも良くて、テストもあって4輪みたいで良かったです。

GPRシーズンエンドチャンピオン記者会見
チーム部門

出席者
山本龍司(ERS with SACCESS/CADET)
光貞秀俊(ミツサダPWG RACING/JUNIOR)
川口慶大(K.SPEED WIN/OK)
松浦孝亮(TONYKART RTJ/SHIFTER)


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■ただ今よりチームチャンピオンを獲得しましたチーム代表の方に伺っていきます。まずはカデットクラス、ERS with SACCESS代表、おめでとうございます。
山本:カデットクラスチームチャンピオンを獲らせていただきましたERS with SACCESSの山本です。今年、このような素晴らしいシリーズで初年度のシリーズチャンピオンを獲れたことはドライバーの力、チームスタッフ皆さんのおかげなので、素晴らしい賞だと思っってまた来年に続くように頑張っていきたいと思います。
■チーム代表からご覧になって、ドライバーが他のシリーズとは違う気持ちで戦っているな、といった手応えはありましたか。
山本:このシリーズは、決勝が2回行われるので緊張感を2回味わうし、1度目のレースが失敗しても2度目にリカバリーしたりと、普段のレースと取り組みが違ったり、普通のレースとはドライバーも真剣にやっているような取り組みは見えたと思います。

■では、続いてジュニアクラス、ミツサダPWGレーシング、おめでとうございます。
光貞:まずはこの素晴らしいシリーズを成功に導いていただいた松浦代表はじめ関係者のみなさん、お疲れさまでした。ありがとうございます。この素晴らしいシリーズで、初年度にドライバーズタイトルとチームタイトルを獲れたことは、とても誇りに思います。素晴らしい成績を残せた、今後に繋がる自信をチームスタッフ含め持てるなと思っています。
■たくさんのシリーズ戦に参戦してきた今季でしたが、GPRならではの特色はなにか感じられたことはありますか。
光貞:まずレースがかっこよく見えるような演出もされていて、かつエントラント、参加者が少しでもコストが抑えられるように1day開催にトライされ、内容が濃いレースのオーガナイズがされているところが特徴的で、未来につながればと思っています。

■続いてOKクラス、Kスピードウィンおめでとうございます。
川口:このような素晴らしいシリーズを立ち上げていただいて、チームもドライバーも本気で戦えるシリーズは自分たちも求めていたものでした。とくにOKクラスでは、自分もとにかくチャンピオンが獲りたく、ドライバーもチャンピオンを獲って4輪へ行くにはこれしかないと取り組んでいて、結果として獲れたことを嬉しく思います。チームのスタッフも一所懸命頑張ってくれて、ドライバー同士も仲良くライバル同士、本気で楽しく1年間戦えた素晴らしいシーズンだったなと思います。
■OKクラスとしては、去年まではタイヤマルチメイクの全日本OKが盛り上がっていましたが、去年と今年で同じOKでありながらここは違うと感じられたことはありますか。
川口:やはりタイヤのグリップ、性能が全く違うので、どうやって最大限引き出せるか。とくに前半戦は苦戦して、周囲のライバルたちには劣っていたのかなという部分はあります。タイヤ性能を引き出すところをドライバーと話し合って進めてきました。

■続いてシフタークラス、トニーカートRJT、お願いします。
松浦:開幕戦はドライバーがいなくて参戦していなかったのですが、シフタークラス参戦のきっかけはケイ・コッツォリーノがル・マンに出るにあたって、シフターでフィジカルを鍛えて、ル・マンで少しでも早く走れるのならシフターで練習したいというのがきっかけでした。その後、松下信治がスーパーフォーミュラでもっと速く走るためにシフターで練習したいと言い始め、次には岩崎有矢斗がイギリスから帰っている合間に自分も走りたい、と次々に4輪レースのドライバーが戻ってきてくれました。今回、僕がここに座らせてもらえるのは、ドライバーが良かったからですけど、最終戦はデヴィッド、彼はトニーカートのワークスで4年間走って、世界選手権でも3度表彰台に登っているし、KZでも表彰台に上がっているドライバーです。彼がコーチングについてくれたおかげで、キャブレーションなどセットアップも助けてくれ、実際にレースに出たら2レースとも優勝してくれました。今年は10戦中8戦に出ているのですが、チームとしては7回トップでゴールできました。そのうち2回は車検失格だったりフェアリングだったりで結果は残っていないのですが、7回トップチェッカーはドライバーにも恵まれたし、一緒に参戦している他のチーム、ドライバーの刺激にもなれたかなとは思っています。
■ドライバーのコメント、手応えはいかがでしたか。
松浦:フィジカル面でも凄くきついし、松下はトレーニングが趣味で『自分より体力のある選手は日本にはいない』と言っている彼が、カートに来ると息が上がっていて、それでもコースに来ると楽しそうにしているし、ケイも岩崎もみんなカートが好きなので、カートレースを楽しんでくれます。自分としては良いパッケージも用意できたと思いますし、メカニックも頑張ってくれて、シフターやってみて良かったと思います。
■トニーカートワークスとヴァイテックというチームを引き継いでの参戦に難しい部分、工夫はありますか。
松浦:自分がカートから離れたのが2000年くらい。それからは海外でレースをしていた時期もあり、全く携わらないできました。去年一年は見習いでチームに帯同してみましたが、自分がやっていた頃とは全く違う。ですので、僕はあまり口出さないようにしていました。僕が口を出して混乱してもいけないし、優秀なスタッフ、エンジニアやメカニックなど経験豊富な方がいるので、その人達に頼って自分は新人の気持ちで勉強させてもらった感じです。
■川口さん、全日本からGPRに変わり、タイヤの変更、レースフォーマットの違いなどありますが、多くのチームメンバーを抱えるなか、シーズン前半はチームとしても厳しいレースを強いられたかなと思います。そこから脱却し、後半みんなが速くなった要因は何があったのでしょうか。
川口:まずタイヤのグリップを引き出せないという問題があったので、とにかくドライバーと話をして、一からベースの部分をやり直してみようと。シート位置であったり車高であったりをテストして、7月くらいからこれくらいかなというところが見えてからは、ガラッと雰囲気が変わったと思います。良かったことを、また戻して繰り返してベースセットが出せたという感じです。
■ここ数年、全日本のOKも今回のGPRもKスピードを中心に結果を出している状況が続いていますが秘訣は何かあるのですか。
川口:メンテナンスの立場としては、シャシーもエンジンもそうですが、いかに徹底してメンテナンスするかというところ。持ち込む前に定盤で毎回測って、自分が納得するまでやっていますし、エンジンに関してもいろいろ考えながらドライバーとも相談して、タイミングを変えたりだとかいいところを見つけられるように努力はしています。あと、ドライバーそれぞれに個性があるので、こちらから色々言うことはあまりないし、セッティングの部分でもドライバーの意見をなるべく取り入れて要望に応えるようにしていて、話し合いながらマシンを作っていることがいい結果に繋がっていると思います。 あとは、最近思うのですが、のびのびレースさせるのが良かったんじゃないかな、と感じています。
■次に山本さん、ERSでGPRに出ているドライバーはカデットクラスが多いですが、この年代だとドライバーの育成と結果を出す部分の両立を図らなければいけないと思うのですが、その部分はチームとしてどう取り組んでいるのですか。
山本:まず、私自身がジュニアドライバーの頃からレースをしてきた経験をもとに、とくに子供目線で『この子はこういったアドバイスがいい』とか、『こうしたセッティングがいい』ということを我々が判断し、それをドライバーが理解してもらえるか? あとはその方向に親御さんが理解してくれるか? そこをチームとして信頼してもらえる、それが一番だと思っています。その信頼関係があってのチームの結果、とくに我々のようにジュニアに特化したチームは、親御さん、ドライバー、チームのコミュニケーションで成り立っている結果だと思っています。そこが、ここ数年うまくできているのだと思います。
■チームとしては、今のカデットやジュニアの子達が年齢を重ねていくにつれて、参戦するクラスの幅なども広げていくという方向ですか。
山本:ビジョンとしては4輪へ送り出すのが我々のスタンスなので、カートの最高峰、例えばOKクラスを中心にといったことはあまり考えてはいません。それよりも4輪に繋がるクラスをチョイスしていけたらとチームとしては考えています。



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